奈良漬を簡単に食べる方法、それも「一番簡単な」奈良漬の食べ方をご紹介します。それは、奈良漬を水洗いして食べる方法です。
奈良漬を洗う食べ方は、奈良漬業界では永年タブーとされてきた方法で、当店でも今まではお勧めしてきませんでした。
なぜ今になって、業界タブーである「奈良漬を水洗いして食べる方法」を紹介するのか。それは日本人の生活の変化です。「コスパ」「タイパ」という言葉が社会に浸透してきました。
奈良漬を食べる準備に時間をかけるのは効率が悪い、という考え方が増えてきているのは事実です。奈良漬屋としても時流にあった奈良漬の食べ方を考えて、伝えていくことが必要だと考えました。
奈良漬を洗うことのメリットは二つあります。「時短」ができ、「マイルドな風味」になることです。
準備時間が3分程度に短縮でき、気楽に、気軽に奈良漬が食べられます。
奈良漬を水洗いすることでアルコール成分が飛び、爽やかさが出てマイルドな風味になります。少しでも香りを減らしたい、アルコールの風味が苦手な方にもお勧めの食べ方です。
今まで奈良漬を洗うことをお勧めしてこなかったのは、デメリットが二つあるからです。
そのデメリットとは、風味が落ち、長期保存ができなくなります。
せっかく1年から3年半かけて育ててきた奈良漬ですから、奈良漬屋としてわざわざ味が劣る食べ方は伝えてこなかった。そういうことです。
お客様の率直なお言葉から、奈良漬を洗うことの需要に気付き、学ばせていただいたことがありました。「時短」「気楽さ」「気軽さ」はとても大事なことです。
もし、奈良漬の準備が面倒で後回しにしている方がいらっしゃったら、今すぐこの水洗いの方法を試してください。
少量の奈良漬なので、一週間程度で食べきってしまうという方にも、気軽に準備ができる水洗いの食べ方はメリットになります。
奈良漬屋としては、もしかしたら奈良漬が放置され、その結果捨てられてしまうかもしれない運命があるのならば、気軽に水洗いして賞味期限内に食べていただきたい。そう思います。
奈良漬を食べる準備をするということ、つまりは奈良漬の周りについている『茶色の物体』を、どう処理するかということです。
奈良漬の周りについている茶色の物体を、『酒粕(さけかす)』といいます。
日本酒の製造過程で、清酒と酒粕を分離させます。酒粕中には豊富な酵素・ペプチド・アミノ酸・ビタミン・酵母などが含まれており、この栄養素を利用して奈良漬は熟成します。
奈良漬の酒粕を水で洗うと、この熟成した「酒の風味」、「発酵の風味」を洗い流すことになります。
表面の風味だけを洗い流すので、奈良漬の内側の風味は残ります。食べる前の香りは減りますが、食べたときの風味は残っています。
奈良漬を水洗いすることで、爽やかさが出てマイルドな風味になります。少しでも香りを減らしたい、アルコールの風味が苦手な方にも、お勧めの食べ方です。
具体的な手順の前に、奈良漬を洗った場合の保存法についてまとめます。酒粕を洗い流すので、奈良漬の保存に酒粕を使わない方法になります。
酒粕がない状態の奈良漬は、長期保存に向きません。
キッチンペーパーなどで奈良漬の水分をぬぐい取って、ふたのあるタッパー容器などに入れて、冷蔵庫による保存が必要になります。一週間程度で食べきってしまう覚悟も必要になります。
商品の包装を開けて、ビニール袋に包まれた奈良漬を取り出します。
まな板の上で奈良漬の袋を開封します。ビニールシートの上に酒粕に包まれた奈良漬がある状態です。
まな板にビニールシートをひいたまま、酒粕を奈良漬から取り除きます。ゴムヘラなどを使用して、奈良漬からビニールの端に寄せていきます。
ひっくり返して、奈良漬の裏側も酒粕を取り除きます。大まかに取り除いたら、その酒粕は生ごみとして処分します。
奈良漬を水洗いします。お湯は奈良漬が傷むので、必ず冷水で洗います。その後、キッチンペーパーなどで奈良漬の水分を拭き取ってください。
まな板の上で奈良漬を切って下さい。どのぐらいの厚さに切るかはお好みです。好みがわかるまでは、5mm程度の薄さで切ってみたり、分厚く切ってみたり、サイコロ状に切ってみたり、いろいろ試してください。